遺言者が、その全文・日付・および氏名を自分で書き最後に印を押します。ワープロや他人が代筆したもの・ビデオ・テープレコーダーなどを用いた場合は無効になります。民法が認める遺言の方式としては、一番簡単なものです。しかし、自分で作るため無効になりやすいので、以下の注意が必要です。
自筆証書遺言書は、すべて自筆で書くのが原則ですが、法改正により「相続財産の目録」については、パソコンで作成したものや不動産であれば登記事項証明書、預貯金であれば通帳の写しでもかまいません。その場合、各項に署名と押印が必要です。
日付は日にちまで書かないと無効です。日付は、遺言書成立の日が特定できればよいとされていますので、「私の○歳の誕生日」 「還暦の日」等の記載は有効ですが、「平成15年○月吉日」等の記載は無効です。年月日で書くのが望ましいでしょう。
その氏名は、戸籍上の氏名に限らず、遺言者が通常使用している芸名等でも、遺言書を書いた者が特定できれば有効です。印は実印を押す必要はなく、三文判であっても有効です。
遺言者と証人二人以上で公証人役場へ行き、遺言者が公証人に対し遺言の趣旨を口授し公証人はその内容を公正証書に筆記します。これを遺言者と証人に読み聞かせて間違いないことを承認したのちに、遺言者・証人全員が署名押印します。公証人は正規の手続で遺言書が作成された旨を付記して署名押印します。遺言者が病気等により、公証人役場へ出向くことができない場合には、公証人に出張してもらうことも可能です。
自分で書く(ワープロでも可)か、第三者が書いた遺言書に署名押印をする。次に遺言者がこの遺言書を封筒に入れ、遺言書に用いた印で封印する。遺言者は公証人一人および証人二人以上の前に封書を提出して、これが自分の遺言書であること、自筆でないときは書いた者の氏名と住所を申述しなければなりません。公証人がその証書を提出した日付および遺言者の申述を封筒に記載した後、遺言者および証人と共に署名押印し、秘密証書遺言が成立します。